分子量約200万のPEO−8以降のものが管摩擦低減効果は顕著である。
3-2 管摩擦低減効果の攪拌による機械的劣化
3-1節の結論を考慮して管摩擦低減効果が顕著に現れる代表流体として分子量約450万のPEO-18を試験流体として各種攪拌機により機械的に劣化させたPEO−18添加人工海水の管摩擦係数をFig.5〜Fig.8に示す。
攪拌機Aと攪拌機Bによる攪拌ではPEO添加水溶液の管摩擦係数はFig.5、Fig.6に示すように時間とともに少しずつ大きくなっていきニュートン流体に対するBlasiusの式に回復していく様相を呈しているが、180分攪拌しても管摩擦係数の回復の割合は非常に長やかで、機械的劣化はわずかで管摩擦低減効果は殆ど消えていない。
遠心ポンプA、Bによる攪拌では管摩擦係数はFig.7、Fig.8に示すように1回のポンプ通過で顕著に増大し管摩擦低減効果の機械的劣化は顕著に認められるようになっている。通過回数を増すにつれて管摩擦係数は大きくなって次第にBasiusの式に回復していく。Fig.9に遠心ポンプAで攪拌した場合の管摩擦係数の低減率Eを示す。ここに低減率EはBlausiusの式による管摩擦係数をλB、本実験で求めた管摩擦係数をλとして
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で定義してある。低減率は
![030-2.gif](../images/030-2.gif
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で最大0.74(74%)を示し、ポンプ通過回数が増えるに従って小さくなっていく。しかし、管摩擦低減効果の機械的劣化はポンプ通過回数に単純に比例するわけではなく、一回目のポンプ通過回数を増していっても機械的劣化の影書は次第に小さくはなるが通過回数10回でも管産擦低減効果が完全に消えるわけではない。
結局、PEO添加による管摩擦低減効果は単純な攪拌機による機械的劣化よりも遠心ポンプによる機械的劣化の方が大きいことが結論される。
しかし、PEO添加により何故管摩擦低減効果が現れ、攪拌により何故管摩擦低減効果が機械的に劣化するのかについては不明である。恐らく直鎖状のPEO高分子の鎖の長い方が管摩擦低減効果が大きく、特に乱流の場合のような流れの強いせん断力により鎖が切断されると鎖の長さが短くなってより低分子量のPEOと同等となって管摩擦低減効果が減衰していくものと考えられる。そこで、この間の事情を円管内流れを可視化して検討する。
![030-4.gif](../images/030-4.gif
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Fig.6 Degradation of Drag Reduction of Salt Water Added PEO(PE0−18,100ppm,Stirrer B)
![030-5.gif](../images/030-5.gif
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Fig.7 Degradation of Drag Reduction of Salt Water Added PEO(PE0−18,100ppm,Pump A)
![030-6.gif](../images/030-6.gif
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Fig.8 Degradation of Drag Reduction of Salt Water Added PEO(PEO−18,100ppm,Pump B)
![030-7.gif](../images/030-7.gif
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Fig.9 Rate of Drag Reduction of PEO added Salt Water(PEO−18,100ppm,Pump A)
3-3 円管内口流の可視化
水素気泡法により可視化した円管内層流
![030-3.gif](../images/030-3.gif
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の断面に直交する水平線からのタイムラインの代表例をFig.10に示す。Fig-10(a)は人工海水の場合を、Fig-10(b)はPEO−18を100ppm添加した人工海水をポンプで5回攪拌した場合を、Fig.10(c)はPEO−18を100ppm添加した人工海水をポンプで10回攪拌した場合を示して
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